第三条(複製権の強制許諾) |
(1) | この条に定める権能を利用することを宣言した同盟国は、権限のある機関がこの条に定める条件でかつ次条の規定に従つて与える非排他的かつ譲渡不能の許可の制度をもつて、この改正条約第九条に規定する排他的複製権の代わりとすることができる。 |
(2) |
- (a)
- (7)の規定に従つてこの条の規定が適用される著作物については、その著作物のある特定の版の複製物が、その版の最初の発行の日から起算して次の(i)又は(ii)のいずれかの期間が満了した後においても、複製権を有する者又はその者の許諾を得た者により、(1)に規定する同盟国において同種の著作物に通常付される価格と同程度の価格でその国において一般公衆に又は教育活動のために頒布されていない場合には、その国の国民は、教育活動における使用のため、その価格又は一層低い価格でその版を複製しかつ発行するための許可を受けることができる。
- (i)
- (3)に定める期間
- (ii)
- その国の法令が定める一層長い期間
- (b)
- (a)に規定する頒布が行われた場合において、その頒布に係る版の許諾を得た複製物が、(a)に規定する期間の満了の後に、当該国において同種の著作物に付される価格と同程度の価格で当該国において一般公衆に又は教育活動のために六箇月の間頒布されていないときは、その版を複製しかつ発行するための許可を、この条に定める条件で与えることができる。
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(3) | (2)(a)(i)にいう期間は、五年とする。ただし、
- (i)
- 自然科学及び科学技術に関する著作物については、三年とする。
- (ii)
- 小説等のフィクション、詩、演劇用の著作物、音楽の著作物及び美術書については、七年とする。
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(4) |
- (a)
- この条の規定に基づく許可は、三年の期間の満了を条件として受けられる許可については、次のいずれかの日から六箇月の期間が満了するまで、与えてはならない。
- (i)
- 許可を申請する者が次条(1)の手続を行つた日
- (ii)
- 複製権を有する者又はその者の住所が明らかでない場合には、許可を申請する者が、許可を与える権限のある機関に提出した許可の申請書の写しを次条(2)に定めるところに従つて発送した日
- (b)
- 三年の期間以外の期間の満了を条件として受けられる許可の場合において次条(2)の規定が適用されるときは、許可は、申請書の写しの発送の日から三箇月の期間が満了するまで、与えてはならない。
- (c)
- (a)又は(b)の六箇月又は三箇月の期間内に(2)(a)に規定する頒布が行われた場合には、この条の規定に基づく許可を与えてはならない。
- (d)
- 著作者が複製及び発行のための許可が申請された版の頒布中の複製物をすべて回収した場合には、許可を与えてはならない。
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(5) | 次の場合には、著作物の翻訳を複製しかつ発行するための許可をこの条の規定に基づいて与えてはならない。
- (i)
- その翻訳が、翻訳権を有する者により又はその者の許諾を得て発行されたものでない場合
- (ii)
- その翻訳が、許可が申請された国において一般に使用されている言語によるものでない場合
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(6) | 著作物のいずれかの版の複製物が、複製権を有する者により又はその者の許諾を得て、(1)に規定する同盟国において同種の著作物に通常付される価格と同程度の価格でその国において一般公衆に又は教育活動のために頒布される場合において、その版が、許可に基づいて発行された版と同一の言語によるものであり、かつ、ほぼ同一の内容のものであるときは、この条の規定に基づいて与えられた許可は、消滅する。許可の消滅前に既に作成された複製物は、それが無くなるまで引き続き頒布することができる。 |
(7) |
- (a)
- (b)の規定が適用される場合を除くほか、この条の規定が適用される著作物は、印刷その他類似の複製形式で発行された著作物に限定される。
- (b)
- この条の規定は、適法に作成された視聴覚的固定物であつて保護を受ける著作物であるもの又は保護を受ける著作物を収録したものを視聴覚の形式で複製すること及びそれと一体となつている本文を許可が申請された国において一般に使用されている言語に翻訳することについても、適用する。ただし、当該視聴覚的固定物が、専ら教育活動において使用されるために作成されかつ発行されたものであることを条件とする。
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