文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約
(パリ改正条約)
附 属 書

第四条(強制許諾の手続)
(1) 第二条又は前条の許可は、許可を申請する者が、権利を有する者に対し翻訳及びその翻訳の発行若しくは版の複製及び発行の許諾を求めたが拒否されたこと又は相当な努力を払つたが権利を有する者と連絡することができなかつたことを当該国の規則に従つて立証する場合に限り、与えることができる。許可を申請する者は、権利を有する者に対し許諾を求めると同時に、(2)に規定する国内的又は国際的情報センターにその旨を通報しなければならない。
(2) 許可を申請する者は、権利を有する者と連絡することができなかつた場合には、著作物にその名を表示されている発行者に対し、及び発行者がその主たる事務所を有していると推定される国の政府が事務局長に寄託した通告で指定した国内的又は国際的情報センターに対し、許可を与える権限のある機関に提出した申請書の写しを書留航空便で送付する。
(3) 第二条又は前条の規定によつて与えられた許可に基づいて行われた翻訳又は複製に係るすべての複製物には、その発行に際し、著作者の名が表示されていなければならない。これらの複製物には、著作物の題名を表示するものとする。翻訳の場合には、これらの複製物に著作物の原題名を表示しなければならない。
(4) 
(a)
 第二条又は前条の規定に基づいて与えられる許可は、複製物の輸出には及ばないものとし、それが申請された国の領域内で翻訳又は複製に係る複製物を発行することについてのみ有効とする。
(b)
 (a)の規定の適用上、いずれかの領域からその領域について第一条(5)の規定に基づく宣言を行つた国への複製物の送付は、輸出とみなす。
(c)
 第二条の規定に基づき英語、スペイン語及びフランス語以外の言語への翻訳の許可を与えた国の政府機関その他の公の機関がその許可に基づいて発行された翻訳の複製物を他の国に送付する場合には、その複製物の送付は、次のすべての条件が満たされる時は、(a)の規定の適用上、輸出とみなさない。
 (i)
 受取人が、当該許可を与えた権限のある機関が属する国の国民であること又はそのような国民から成る団体であること。
 (ii)
 その複製物が、教育又は研究のためにのみ使用されること。
 (iii)
 その複製物の送付及びその後の受取人への頒布が、営利性を有しないこと。
 (iv)
 その複製物が送付された国が、当該許可を与えた権限のある機関が属する国との間でその複製物の受領若しくは頒布又はその双方を許可することについて合意しており、かつ、当該許可を与えた権限のある機関が属する国の政府がその合意を事務局長に通告していること。
(5) 第二条又は前条の規定によつて与えられた許可に基づいて発行されたすべての複製物には、その許可が適用される国又は領域においてのみその複製物が頒布されるものである旨の表示を適当な言語で記載しなければならない。
(6) 
(a)
 次のことを確保するため、適当な国内措置をとる。
 (i)
 許可が、翻訳権又は複製権を有する者のため、二の関係国における関係者の間で自由に取り決める利用の許諾の場合に通常支払われる使用料の基準に合致する公正な補償金を伴うこと。
 (ii)
 (i)の補償金の支払及び移転が行われること。通貨に関する国内規制が存在する場合には、権限のある機関は、国際的に交換可能な通貨又はこれに相当するものによる補償金の移転を確保するため、国際的な機構を利用してあらゆる努力を払う。
(b)
 著作物の正確な翻訳又は版の正確な複製を確保するため、国内法令により適当な措置をとる。